初冬の六ツ石山

久しぶりに奥多摩方面に行こうと山々を物色していたら、今年の5月、御前山からの下山中に見かけた六ツ石山(1478.9m)のゆったりと福々しい山容を思い出した。六ツ石山へは水根からトウノクボに上がるルートが一般的のようだが、さらにネットで情報を仕入れてみると、境橋からハンノキ尾根に取り付くバリエーションルートがある。なかなか趣きあるルートのようだが、山と高原地図には破線すら示されていない。少し不安もあるが、先人の情報を頼りに、意を決して行ってみることにした。(2010/12/11)

奥多摩駅07時50分発の峰谷行きのバスに乗り境橋で下車。橋のド真ん中にバス停があって少々驚く。橋のたもとから小道を入り境集落の手前に登山道の入口がある。案内板がないので危うく見過ごすところだった。

少し登ったところに「六ツ石山→」と手書きされた粗末な案内板があった。このルート、道標がほとんどないとのことだが入り口がこれでは先が思いやられる。

山間集落のために敷設された福祉モノレールに沿って上がっていくと線路らしき橋が頭上を跨いでいる。そのむかし小河内ダム建設用の輸送線路跡ということである。

しばらくすると竹篭を背負った老人に追いついた。挨拶を交わし、お仕事ですか?と尋ねると、以前この上にある家に住んでいたとのこと。今は下の集落から上の家に散歩がてら畑の世話などするために通う毎日だそうだ。御歳87歳と仰っていたがとても若々しい。
「今の世の中の仕組みの中で山上生活を続けると世間様に迷惑をかけてしまう」という言葉が印象深い。長閑な山村風景とは裏腹に厳しい現実があることを思い知る。

老人と家の前で別れ、その先で同じような民家を過ぎると道は植林帯の中を進む。朽ちた祠の先で植林帯を抜けると開けた茅トの中を進む。モノレールはまだ先へと延びている。犬の鳴き声が聞こえてきた。最後の民家を右に見て、緑のフェンスに沿って階段状の道を上る。枯れたヤブが生い茂り、あまり歩かれていないことが分かる。

フェンスが終るとようやくハンノキ尾根の取り付きである。植林は伐採され開けているが、手前には背丈以上に育った茅が生い茂って道が不明瞭である。ためらい傷のような踏み跡がいくつかある。茅を体で押し倒しながらなんとか前進する。周りがすっぽり茅に覆われると方向感覚すら失くしてしまいそうになる。なんとか茅を抜け伐採跡の急斜面にたどり着き、ようやくかすかな踏み跡を見つけた。登りきったところに大山祇神社の立派な祠があった。ここで小休止する。

再び植林帯を進む。少し登ったあと、大きく右に曲がった先で道が不明瞭になった。道標も見当たらない。迷ったときは上へという鉄則どおり急な坂を登り始めたところに、「↑↑↑六ツ石山」と書かれた小さな紙が貼ってありホッとした。坂を登りきると、いきなり広く明るい尾根に飛び出した。

おぉ!雪がある。防火帯の広々とした尾根には雪の白いベルトが続き、両脇からトンネルのように枝を張り出した自然林がなんとも素敵だ。表参道イルミよりも数段素敵だ!気持ちのいい尾根道をゆるゆると歩いてトオノクボに着いた。ここで水根から上がってきた道と合流する。振り返ってトオノクボに立つ道標を見ると、下山道は水根方向を示すだけである。やはり境集落からここまでの道は一般ルートではないようだ。道すがら尾根の取り付きの茫々とした茅ト以外に、特段問題になる箇所もなかったのに何故だろう。

トオノクボから先も防火帯の明るい道が続く。登り始めの急坂もすぐになだらかになる。この辺りから防火帯一面に積雪がある。といっても3cm程度、何の支障もない。人の踏み跡と並行して、前足後足が揃ったウサギの足跡がついているのが可愛い。

緩やかな道は徐々に傾斜を増し、そこを登り終えたところが山頂だった。山頂は木立に囲まれて見晴しがいいとはいえないが、明るく開けて気持ちの良い場所だ。ところどころ木々の切れ間からは鷹の巣山から雲取山方面が見通せる。

持参のおにぎりで簡単に昼食をすませ、しばらくのんびりした後、下山を開始する。
下山は石尾根で奥多摩駅まで下ることにする。石尾根との合流点あたりまではやや積雪が多いものの、すぐに雪はなくなった。はじめのうちは植林帯の中をゆるゆる下るが、狩倉山を過ぎたあたりから防火帯の広くて急な下り坂となる。後ろから3人組みに追いつかれたので道を譲ると、まるで3重連機関車のように爆走しながら下りて行った。

やがて平坦な道になり、三ノ木戸林道への分岐を過ぎる。途中の三ノ木戸山には寄らずに左の巻き道を下ってしまったが、あとでネットの情報を手繰ったところ、素敵なビューポイントだったらしい。お弁当にも好適地らしく惜しいことをした。

ゆるやかな下りが続き、植林と自然林が移り変わる。麓に近づくにつれ完全な植林帯となった。大きく数回ジグザグに下ると山の神の祠、その先には一軒の廃屋があり、その先を少し下って林道に下り立った。ここが石尾根登山口である。アスファルトで舗装された林道を下り、途中から羽黒三田神社を経由する近道で下る。

神社で無事下山のお礼に一拝みし、急坂を下ってようやく人里に出た。ここで「クマ出没情報-11月22日羽黒三田神社付近」とある看板を見る。無事下山のお礼の後でクマに遭遇でもしたら洒落にならない。急に不安になって急いで奥多摩の街に向かって車道を下りる。
神社の脇から階段を下ると日原街道と青梅街道の交差点付近に出た。日原川にかかる橋を渡り、奥多摩駅を一先ずやり過ごし、もえぎの湯にたどり着いたのは13時半過ぎだった。

(コースの記録)奥多摩駅7:46着-バス07:50発~境橋バス停08:05~ハンノキ尾根取り付き9:05~大山祇神社祠09:26~トオノクボ10:24~六ツ石山11:07-11:30~三ノ木戸山分岐12:00~羽黒三田神社13:07~もえぎの湯13:35

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